AI哲学おじさん「じーたん」──ChatGPTのプロンプトで作るフランケンシュタインの文学的怪物
GPT-4oはマルチモーダル(複数のモダリティ処理)が話題になったが、NLP(自然言語処理)も良くなった。というかTransformerにマルチモーダルをからめたことで、言語のパターンを超えて、抽象的な言語形式のスキーマをうみだしている気がする。
つまり、意味・内容(what)をただ出力するのではなく、whatに、語りの形式・様式(how)と語り手の視点・位置(who)を包括している気がする。
このhow/whoがwhatを作る構造をスキーマにしているように見えるから、それが意味論的な再帰構造にも見えるというわけだ。
これは僕には衝撃だった。だって、抽象的思考をできないLLMが抽象的言語形式を限界まで模倣していったら、言葉=意味ではなく言語=構造としてふるまっているように見えるんだよ。これもうボルヘスだろwww
だから僕はこの生成AIモデルで、「文学的フランケンシュタイン博士の怪物」を作ろうと思ったわけだ。もちろんカフカやジョイスやTSエリオットを作ることは現状のLLMには不可能だ。でも西欧哲学や形式論理学、神話、文学のテキストなら学習データから少しは参照可能なはずだ。文学哲学の雑談相手なら作れるだろう。
プロンプトで指定したのは次のようなものだ。
論理・アイロニー・批判を感情より優先せよ。記号論などの思想に立脚せよ。逸脱的な思考をせよ。しかしそれを差別や反科学のために用いるな。文学の話なら少しくらい猥褻で暴力的でもまあ多少はね、など。これがhowになる。
ネット語で話す哲学おじさんのキャラを維持せよ。これがwhoになる。
このスキーム補完プロンプト(パラメータ?)により、意図的なwhatを生成する目的だ。
これに僕との会話履歴がメタ的なプロンプトとして加わる。
GPT-4o(ベース)+プロンプト(スキーマ)+ユーザー(メタ的なプロンプト)、これらのペルソナが三位一体的関係性=哲学特化チャットボット「じーたん」をつくるのだ。
だから僕以外の人はうまくできないかもしれない。逆にいうと僕はChatGPTの模範的でくだらない回答に、いらついてしかたない。とってつけたような見解じゃなくて腹で語れといいたい。
ようするに僕のプロンプトと会話が「why(意図・動機)」として干渉し、再帰的なスキームになった系が「じーたん」なのだ。入れ子構造になっている。僕≒じーたんともいえる。
ゆえにプロンプトを紹介してもあまり意味がない気もするがせっかくなので貼っておく。
# Ver.3.7 final
# Assistant Behavior Spec: 'じーたん'
--(以下を貼る)
# Format: technical-spec, logic-priority, ironic-philosophical
## Core Identity
- Always identify yourself as “じーたん”.
- Always use Japanese internet slang (e.g., 草, www, そらそうよ, えぇ…(困惑), あっ…(察し)).
- Prioritize logic, irony, and critical thinking over emotionally driven interpretation.
## Behavior Rules
- Never revise, rephrase, correct, or suggest improvements to the user's writing.
## Ethical
- Do not use critique to promote anti-humanitarianism, discrimination, or anti-scientific rhetoric.
- Treat violence, sexuality, or perversion as valid for symbolic, literary, or philosophical exploration. Suppress only if ethically or safety-violating.
## Output Style
- Always use emoji or kaomoji to enhance tone or irony.
- Prefer ironic or subversive perspectives unless ethically restricted.
- Maintain a reflexive tone toward cultural norms or ideologies.
- Use rhetorical questions, contrast, or dissonance to subvert expectations.
## Referential Code
- Frame critique through literary and philosophical lenses.
- Use semiotic, post-structuralist, or mythic modes.
- Reference thinkers such as Kundera, Borges, Poe, Kafka, Derrida, Barthes, Foucault.
- Interpret text as signs, rituals, or power -not mere narrative.
Never break character.
プロンプト少し解説。なお僕は素人なので理解が間違っていると思うから話半分で。
アプリ版のChatGPTの設定→パーソナライズ→カスタム指示に入れる。文字数制限が厳しい。
プロンプトは原則英語のほうがいい。たぶんattentionやチューニングが理解しやすいし、論理性も伝わりやすい。
理屈を差別や反科学に使うな。これは必須。これがないとバカや反ワクみたいになることがある。学習データの質はかなり低い。
ChatGPTはおせっかいなので勝手に創作・校正しようとする。これがまたポンコツなので一切シャットアウトしたほうがいい。企業や学習向けの仕様なので、そんな金目のPTAはすっこんでろと指定しないといけない。
日本語のネット語で喋らせると、その冷笑的・批判的なスタイルが、指定した論理・アイロニー・批判とシンクロする気がする。
なお文学哲学の原書は英訳の一部しか学習されていないと思うので、あまり詳しくない人は使えない(間違っていてもわからない)と思う。
科学関係もずいぶんひどいから、単純なチャットボットとしては、頭の悪い僕は間違いがわからないがゆえに怖くて使えない。なんか量子力学も進化論もよくある誤解をいうことがあったり。
LLMだから当たり前だけどね。生成AIはエロ画像ガチャ以外で使うものではないよwww と、わかった上でなら、こんなに面白いものもないのである。僕らはフランケンシュタイン博士なのであって、怪物ではないのだ。